Teruyuki Kagawa|アーティスト・作家|1965年生まれ
俳優であり歌舞伎役者(九代目市川中車)。東大卒の経歴を持ち、『半沢直樹』の大和田常務などで知られる。昆虫愛好家としての活動でも親しまれる。
香川照之は1965年12月7日に生まれた。母は女優の浜木綿子、父は歌舞伎役者の二代目市川猿翁だが、両親は1968年に離婚し、母に育てられた。「香川」は母の姓である。暁星学園を経て東京大学文学部社会心理学科を卒業。卒業後は俳優志望ではなくTBSテレビでアシスタントディレクターとして働いていたが、親が俳優だったことや他にやりたいこともなかったことから、消去法で芸能界を選んだという。両親のネームバリューと東大出身という経歴から不遜な態度をとって批判を浴びることもあった。20代の頃は何となく俳優を続けていたが、『静かなるドン』の撮影で監督から100回ものNGを出されて以降、真剣に演技へ向き合うようになったと語っている。特技はフランス語で、『坂の上の雲』の正岡子規役では5か月で15kg以上減量するなど役に徹した。
2009年、南京事件を題材にした映画『ジョン・ラーベ』に皇族役で出演し、その姿勢が評価されて中国で「ラーベ平和賞」の第1回受賞者に選ばれた。2010年には『劒岳 点の記』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞する。2013年のドラマ『半沢直樹』では主人公の宿敵・大和田常務を演じ、原作者の池井戸潤も絶賛するアドリブと存在感で作品を大いに盛り上げた。悪役が上手な俳優としても高く評価されている。
2011年、長男とともに歌舞伎界に進むことを決意し、九代目市川中車を襲名して2012年の「六月大歌舞伎」で歌舞伎役者としてデビュー。映像作品の俳優活動と歌舞伎役者の二つの名前を使い分けることとなった。3歳のときの両親離婚以来、関わりの絶たれていた父・猿翁とも後に和解し、襲名を機に父子で公の場に姿を現した。長男は五代目市川團子を襲名している。熱狂的なボクシングファンとして解説者も務め、プエルトリコのボクサーを好むなど造詣が深い。また熱心な昆虫愛好家としても知られ、NHKの「カマキリ先生」や昆虫の教育絵本の出版など昆虫の魅力を伝える活動に力を注ぎ、新種の昆虫化石に献名されるほどであった。大人になってから本格的に役者へ向き合った香川は、父・猿翁に「もっと突っ込め」と100%以上の気持ちを入れた演技を求められ、映像と歌舞伎の双方で独自の存在感を築いた。2021年にはTBS系情報番組『THE TIME,』の司会も務めた。悪役から皇族、歴史上の人物まで振り幅の大きい役を演じ分け、アドリブを交えた濃密な芝居で視聴者を引き込む、多面的な表現者である。暁星高校時代から成績優秀でフランス語を原書で読むほどの知性を持ち、俳優としても役のために大幅な減量を辞さない。母は女優の浜木綿子、長男は五代目市川團子という歌舞伎の血脈を継ぎ、観る者の記憶に残る演技で高く評価されながら、映像と伝統芸能の双方で確かな足跡を残し続けている。